発達障害者の自動車運転支援を目指して


障害特性が運転行動に与える影響を解明するための研究についての説明


   この研究への参加にあなたが同意されるかどうかを決める前に、この研究の内容を十分理解し、判断していただくために、以下に本研究の内容を説明いたします。研究を理解し、納得してだいたうえで、研究への参加に同意していただける場合には                               「研究への参加申し込み」のページでお申し込みください。

1.研究の背景

    近年、我が国ではあおり運転などの危険運転や高齢運転者による自動車運転事故の問題がニュースなどで多く取り上げられており、事故の原因やそれを防ぐための研究がさかんに行われるようになってきました。

これまでの自動車運転に関する研究は、高齢者や脳卒中などの患者さんを対象としたものが多く、身体機能や注意機能の低下が運転能力に影響を及ぼすことがわかってきています。

では、発達障害をもつ人の自動車運転に対する研究はどうかというと、国内外でもその分野での研究はあまり行われておらず、発達障害をもつ人の運転能力や、発達障害の特性が運転にどのように影響しているかなどの詳しいことはよくわかっていません。そのため、発達障害をもつ人が自動車運転を希望されても、安全な自動車運転技術を身につけるための支援方法が日本社会で整っていないため、免許の取得を諦める人も少なくないようです。


2.研究の目的

    発達障害をもつ人が自動車を安全に運転することができれば、これまでよりも仕事や趣味、人との交流などを行える場所の範囲が広がり、より豊かな生活をおくることができると考えます。

この研究では、その実現のためにまずは発達障害の特性が運転能力にどのように影響しているかということを明らかにしたいと考えています。

高齢者や脳卒中患者を対象とした研究では、運転能力には危険の予測や道路状況の判断などをするのに必要な目の動きの機能が深く関係しているということがわかっています。しかし、発達障害をもつ人が運転している時にどのような目の動きをしているかということについてはほとんど研究が行われていません。

そこで、この研究では発達障害の特性をもつ人の運転時の目の動きを計測してその特徴を示し、さらにその特徴が発達障害のどのような特性と関係があるのかということを明らかにすることを目的とします。


3.研究の方法

・この研究は秋田大学大学院医学系研究科・医学部倫理審査委員会の承認および秋田大学大学院医学系研究科長の実施許可後、研究責任者が秋田大学大学院理工学研究科数理・電気電子情報学専攻および秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻作業療法学講座の研究分担者と共同で行います。

・この研究の計画および研究方法はこのホームページに資料を掲載し、いつでも閲覧し情報を入手することができます。


・この研究では研究対象者として、17歳以上の方を対象に行います。                                          この年齢の方のうち、次の方を対象とします。

  ①診断、検査などにより、発達障害的な特性があることが明らかになっている方で明らか
      な運動障害がなく、検査の指示理解が可能な方

  ②発達障害的な特性が認められない方


・この研究では上記の対象の方それぞれ約20名を調査する予定です。

・研究期間は秋田大学大学院医学系研究科長からの実施許可日から令和7年3月31日までの予定です。


4.研究協力依頼内容

   はじめに、研究についての説明をお聞きいただき、その内容に同意される場合には同意書への署名していただきます。その後、下記の(1)~(5)の順(②の参加者は(1)~(4)まで)に評価・検査を行っていただきます。実施にかかる時間は①の参加者は3~4時間程度間程度、②の参加者は1~2時間程度を予定しています。ただし、参加される方の都合や体調に合わせて休憩をとりますし、数日にわけて行うことも可能です。


(1)対象者基本情報質問票

     参加される方の年齢、性別、所属、診断名、療育歴(医療機関に係った経過など)、療育手帳の有無、現在の内服状況、自動車運転免許取得の有無、自動車学校教習経験の有無、運転歴、事故歴の有無などについて記入していただきます。所要時間は5分程度です。


(2)日本版青年・成人感覚プロファイル(自己評定・保護者用質問票)

     人それぞれがもつ感覚刺激に対する反応の傾向を調べるために、質問用紙に書かれている項目に当てはまるところにチェックしてもらいます。参加される方本人用と保護者の方に回答してもらう用紙の両方に回答してもらいます。所要時間は約10分です。成人されている方は保護者用は不要です。


(3)眼球運動評価 NSUCO・DEM

    目の動きの滑らかさを調べるために、棒の先端についた球の動きを目で追う検査NSUCO(所要時間約5分)と、目の動きの早さと正確性を調べるために数字の列を素早く読み上げる3つの課題を行う検査DEM(所要時間約5分)を行います。その際にアイトラッカーというメガネ型の視線計測装置をかけてもらい目の動きを記録します。


 

(4)ドライビングシミュレーター(HONDAセーフティナビ)と視線計測

    自動車運転操作を模擬的に体験できるドライビングシミュレーター(写真1)という装置を使って自動車運転に必要な能力(運転反応検査・運転操作課題)の評価を行います。モニター画面の表示に合わせてハンドルの操作やアクセル・ブレーキを踏む運転課題を行ってもらいます。その際にアイトラッカー(Tobii Pro3)(写真2)というメガネ型の視線計測装置をつけていただき、運転課題中にどこをどのくらい見ているのかという目の動きを計測します。検査中であっても疲れたり、 酔った感覚がある場合はすぐに研究担当者に申し出てください。その都度休憩をとる、検査を中止するなどの対応を致します。所要時間は約1時間です。



(写真1)
ドライビングシミュレーター・運転能力評価

HONDA セーフティナビ

VR(バーチャルリアリティ)技術により模擬的に自動車運転を体験できる装置を使って運転に必要な能力を評価する課題を行ってもらいます。

(写真2)
視線計測装置 アイトラッカー
Tobii Pro Glass3


メガネ型の視線計測装置で近年この装置を用いた研究が盛んに行われるようになってきました。この研究ではドライビングシミュレーターと2種類の眼球運動評価の際に装着してもらい、そのときの眼球の動きを記録します。

(5)   WAIS-Ⅳ知能検査(①の参加者のみ)

    認知機能や言語理解などの知的機能(IQ)を評価するために質問や道具を使った課題を行ってもらいます。所要時間は約2時間と長時間かかるため随時休憩をとりながら行います。


その他 研究実施について

・研究参加に対する謝礼としてQUOカード1,000円分を進呈させていただきます。


・これらの評価・検査の結果はご希望があれば紙面にまとめて説明致します。


・評価・検査の結果は、参加者が特定されないように完全に名前をふせてデータ化され分析を行います。すべてのデータは本研究のデータ管理者である秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻作業療法学講座の菊地翼の責任のもとで、外部から内容を知られないようにコンピュータで管理されます。個人名がでるなどのプライバシーを侵害するようなことは決してありません。

5.参加者の利益・不利益

   この研究を行っても、その結果がすぐに発達障害をもつ方の利益になることはありません。しかしこの研究結果により、将来、発達障害をもつ方が自動車運転を希望されるとき、安全な運転を行うための支援の方法を考えるのに役立つと考えています。

考えられる不利益としては、人によってはドライビングシミュレーターを操作しているときに疲れたり、映像に酔ってしまうことがあります。その場合は、無理をせずに研究責任者に申し出てください。その都度休憩をとるか、検査の中止、または日を改めて実施させていただくこともあります。


 

6.研究に関わる費用について

    この研究に関わる費用は全て研究者の研究費(科学研究費 基盤研究C:課題番号22K12932)から支払われますので、この研究に参加しても参加者の経済的負担はありません。


7.プライバシーの保護

    この研究の結果は研究責任者によりまとめられた後、学会や医学雑誌などに報告される予定です。参加者の名前などの個人情報やプライバシーに関することは公表されず、データは厳重に守られ、外部にもれることは一切ありません。



8.本研究への参加に同意しない場合でも不利益はありません

   この調査に参加することを決めるのは参加者の自由です。たとえこの調査への参加を同意されなくとも、不利益が生じることはありません。
 

 

9.本研究への参加に同意した場合でも随時これを撤回できます 

   一度参加に同意された場合でも、参加者の自由意志でいつでもそれを撤回(やめること)できます。それによって不利な扱いを受けることはありません。 

 

10.研究終了後の評価・検査結果などの情報の取り扱いについて 

    評価・検査等で得られた情報はこの研究のために用いられます。もし同意いただければ将来この研究に関連した研究や他研究機関に提供して新しい研究に利用させていただく可能性があります。なお、将来この情報を利用する場合には改めて倫理委員会で研究計画の承認を受けた上で利用します。その際の研究計画や情報提供する研究機関に関する情報はこのホームページにて公開し確認することができます。 

 

11.その他、相談窓口など 

    この研究に対し、わからないことがあればこのホームページの「お問い合わせ」から
下記の研究責任者にお尋ねください。 

連絡先電話:018-884-6534  
研究責任者:秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻 作業療法学講座 講師 髙橋 恵一